今回は 「LINE Developers」 で提供されている 「Messaging API」を利用して、LINE の Bot アカウント から、その Bot を友達登録している LINE アカウントに、 FileMaker でのアクションを起点としてメッセージを送信してみたいと思います。
※この記事は、動作する最低限の設定をご紹介するものです。ご自身で利用なさる際には、実際の環境と相談して、適切な処理およびセキュリティの設定を検討してください。
※利用する過程において LINE株式会社 が定める利用規約への同意が必要な箇所があります。それぞれの規約内容については、ご自身でお確かめいただいた上で同意なさってください。
事前準備
メッセージの送信先は個人の LINE アカウント となりますので、あらかじめ LINE アカウントを1つ以上用意しておいてください。
LINE Business ID を取得する
まずは LINE Developers および それに含まれる Messaging API を利用するために、 LINE Business IDを取得します。
LINE Dvelopers の Webサイト を開き、画面右上のログインボタンを押します。
すると 「LINE Business ID」 の取得画面に移動しますので、
- 既存の 個人用 LINE アカウントで取得する
- 既存の ビジネスアカウントで取得する
- 新規に ビジネスアカウントを作成した上で取得する
のいずれかの方法で LINE Business ID を取得します。
今回はビジネスアカウントを作成して登録しました。
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/スクリーンショット-2022-06-30-16.03.45-1.png)
登録が終わると、開発者名 と メールアドレス を登録する画面に移動します。それぞれを入力した上で [LINE開発者契約の内容に同意します] にチェックを入れ、アカウントを作成します。
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/スクリーンショット-2022-06-30-15.59.27-941x1024.png)
Messaging API の利用設定
アカウントの作成を終えると、LINE Developers コンソール のTOP画面に移動します。まずは「プロバイダー」を作成しましょう。プロバイダーは LINE Developer が提供するいくつかのサービスを利用するための1つの単位のことで、プロバイダー1つにつき1つのサービスを利用することができます。
では、画面中ほどにある「新規プロバイダー作成」を押して、プロバイダー名を入力し、プロバイダーを作成しましょう。
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![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/04.png)
プロバイダーを作成したら、チャネル設定 タブで「Messaging API」を選択します。この一連の流れで、Messaging API の利用準備とともに、それを利用するための Bot アカウントが作成されます。
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/05-1024x772.png)
選択すると、チャネルの基本情報を入力する画面に移動します。必須項目を入力し、規約内容へ同意した上で「作成」を押して、チャネルの作成を完了します。
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/06-1024x713.png)
…
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/07-1024x260.png)
このあとに出る確認画面と利用規約への同意をすることで チャネルの作成と Bot アカウントの作成がされます。
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/08.png)
チャネル情報の確認と Messaging API の設定
チャネルが作成できたら、このあと FileMaker と連携するのに必要な情報の確認と、最低限の Messaging API の設定をしましょう。
まずは「Messaging API設定」タブを開きます。
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/11-1024x196.png)
「QRコード」を控えておきます。このQRコードは個人の LINEアカウント(メッセージの送信先)に Bot アカウントを友達登録してもらうのに使います。
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/12.png)
次に「応答メッセージ」と「あいさつメッセージ」を無効にします。それぞれユーザからのメッセージ、ユーザからの友達登録へ定型文で返信する機能ですが、今回は特に利用しないのでオフにしておきます。
応答メッセージ、もしくはあいさつメッセージの右側の「編集」を押します。
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/13-1024x391.png)
新規タブで設定画面が開くので、あいさつメッセージと応答メッセージをそれぞれ「オフ」にします。設定の変更は自動で行われますので、変更が終わったらタブを閉じてください。
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/14-1024x985.png)
上記のタブを閉じたら、最後に「チャネルアクセストークン」の発行を行います。この値は FileMaker との連携に値なので控えておいてください。また、再発行を押して値が変更されると、古いチャネルアクセストークンを利用しているアプリからこの Messaging API を利用できなくなるので注意してください。
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/15-1024x178.png)
以上で、LINE Developers 側の設定は完了です。
Bot アカウントを LINE で友達に追加する
LINE (クライアント) の友達追加で先ほどの QR コードを読み取り、作成した Bot アカウントを友達に追加します。
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/IMG_4448-2-473x1024.png)
LINE 側の設定はこれだけです。
FileMaker から Messaging API を実行する
今回は「ブロードキャストメッセージを送る」API を使用して、Bot アカウントを友達登録している LINE アカウントすべてに同じメッセージを送ってみます。
設定をすべてスクリプト内に記述することもできますが、それだと見づらいので今回は多少フィールドを作成して、そこに設定を記述していきます。
【フィールド】
・URL:テキスト
・cURLオプション:テキスト
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/スクリーンショット_2022-07-24_13_23_45-1024x800.png)
[URL] フィールドの値
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/image-1.png)
[cURL オプション] フィールドの値
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/image-2.png)
※ {チャネルアクセストークン} にはご自身で作成したチャネルのチャネルアクセストークンを入力してください。
※リクエストボディは JSON で記述します。
上記の値は API 実行時に、ブロードキャストメッセージとして、「FileMaker から Messaging API を実行して」「友達にメッセージを送りました。」という2つのメッセージを一括送信する、という記述です。
次に API を実行するスクリプトを作成します。今回はスクリプト名を「API実行」とします。
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/スクリーンショット-2022-07-24-13.54.44-1024x243.png)
1行だけスクリプトステップを設定します。
【URL から挿入】
オプションの設定
[内容全体を選択]:今回はデフォルトの オン のままにしていまう。[ターゲット] の利用方法に応じて変更してください。
[ダイアログあり]:オフ に設定します。
[ターゲット]:APIの実行結果の挿入先です。今回は $$結果 というグローバル変数に指定しました。
[URL を指定]:先ほど用意したフィールド「URL」を指定します。
[SSL 証明書の検証]:今回は オフ に設定します。
[cURL オプションの指定]:先ほど用意したフィールド「cURL オプション」を指定します。
以上の準備ができたら、「URL」,「cURLオプション」を入力したレコード上で「API実行」スクリプトを実行します。すると、Bot アカウントを友達登録した LINE アカウントにメッセージが届きます。
![](https://ayatorisystem.com/wp/wp-content/uploads/2022/08/IMG_4449-2-1024x821.png)
今回は定型文を送る処理として cURL オプションの記述とスクリプトの作成をしましたが、例えば cURL オプション の内容をフィールド値や変数に置き換えることで、FileMaker に入力した内容を動的なメッセージとして送ることも可能です。
さいごに
今回は、Bot アカウント側から一方的にメッセージを送信する機能について紹介しました。LINE Developers には、ほかにも様々な API が用意されており、例えばユーザからのメッセージに対して返信するような処理を作成することもできます。
ただし、ユーザやグループに対してメッセージを送る場合には、Webhook を利用して送信先を指定する必要がありますので、この記事で行った作業にもう一手間加える必要があります。
ちなみに、Webhook を利用した開発をサポートしてくれるサービスはたくさんありますが、FileMaker と同じく Claris 社が販売している Claris Connect も Webhook をサポートしています。機会があればそちらについても記事にしてみたいと思います。